- 工学・物理学用語
- 各種計画
-
各種仮説・法則
- 三極素粒子存在仮説(Tripolar Elementarteilchen-Bestehen Hypothese)
- 脳内の量子力学的揺らぎに基づく
AXS 作用の仮説(A hypothesis of AXS action to be based to shake of quantum mechanics in a brain) - 入れ子状多層世界と神の存在に関する仮説(A hypothesis about the multilayered world and existance of GOD)
- ツェペリの法則(Zeppeli's rule)
- 田宮の法則(Tamiya's rule)
- 本田宗一郎氏の経験則(Honda's empirical rule)
- 特殊技能
- イベント・番組
- 出版
- その他銑鉄網関連用語
工学・物理学用語
三極素粒子(Tripolar Elementarteilchen)
皇紀2686年にミュンヘン大学のユアン・アニヒレィス助教授が存在を示唆した最小単位の粒子で、全ての物質、反物質、相互作用の元となるもの。その存在は2688年に同大学の社・雪村・アニヒレィス助教授によって実証され、一連の技術革新への引き金となる。
リベリオン(Rebellion)
三極素粒子の一つで、崩壊を促す粒子と呼ばれる。錬成炉の炉心で物質粒子を分解するプロセスなどに利用される。
命名の由来について説は色々あるが、社・雪村・アニヒレィス助教授(当時)がガン=カタにはまっていたのが原因ではないかという説が最も有力。
ゴルディオン(Gordion)
三極炉(Tripolar Reaktor)
光子力反応炉と錬成炉をセットにしたもの。どんなゴミでもエネルギーに変え、石ころを金に変えることすら可能な夢のデバイス。最初に起動成功した試作機は炉心だけでも発電所に詰め込むのが精一杯の大きさであったが、後に本田技研の技術協力を得て小型化に成功し、皇紀2710年時点では、ほぼ全ての発電施設と過半数の自動車、二輪車、殆どの
光子力反応炉(Photon Reaktor)
Z0粒子で励起されたα粒子と電子、陽電子の反応からヒッグス粒子を生成し、更に質量を加えて重力子に変換することで、この重力子の自発的相転移で質量が失われ、α粒子分の質量が光エネルギーに変換されるデバイス。皇紀2693年にダッツ社が開発に成功する。
反応過程はまどろっこしいが、最終的に対消滅反応と同じだけのエネルギー変換が可能な上、一度臨界点を突破すればあとは陽電子が内部で自動生成されるため、取り扱いが非常に容易なエネルギー発生機関。正確には発電装置ではなく、放出されるγ線を光電変換フィルタにかけることによって電力が生成される。
そういった理論は以前よりあったものの、超高熱を発する炉心の構造材と燃料の安定供給に問題があり、実機の制作は頓挫していた。そこにGZStrMと錬成炉を投入することで実現に至ったというわけである。
名前がマジンカイザーの動力炉と同じなのは、恐らく社博士の趣味。
錬成炉(Alchimie Reaktor)
物質粒子を素粒子まで分解して任意の物質粒子に組み直すデバイス。やっていることが錬金術そのものなので、錬成炉と呼ばれる。皇紀2692年にダッツ社が開発に成功し、国連を通じて各国に注意を促した後、2693年に発表される。
原理を大雑把に述べると、分解対象の固有振動数に一致させたリベリオンをぶつけて物質を分解し、生成対象物質の固有振動数に一致させたゴルディオンでまたくっつけるといった単純なものになる。
固有振動数を持ったリベリオンが外部に影響を与えないよう、錬成炉の炉心にもGZStrM構造材が用いられている。なお、何でも素粒子までばらすことができるリベリオンは一見破壊光線にでもなりそうな気配だが、実際外界で使おうとしても空気であっさり減衰してしまい、望む効果は得られない。
RAPID (Reverce Alchemic Phreatic Impact Drive)
本田技研が開発した蒸気機関ロケットエンジン。こう形容すると新しいのか古いのか判然としないが、原理としては錬成炉を応用した推進機関で、日本語に訳すと逆錬金蒸気圧反響噴進機となる。その名の通り、金(Au)を水蒸気(H2O)に変換することで体積を約3万倍に膨張させ、これを後方に排出することで反作用推力を得る。吸気を必要としないために場所を選ばず使用できるところと、排気ガスが水蒸気であるため全く無害なところ、そしてタービンを通すことで小型原子炉程度の電気エネルギーを取り出せるところが特徴である。尚、金を燃料とするのは単に比重が大きく場所を取らないからである。
ダッツ社単独では実用化可能なサイズのものを作ることが出来ず、開発は難航していたが、本田技研の協力によって2697年2月16日に完成を見ることとなる。命名は本田技研開発部による。
対消滅噴進機 (Annihilation Raketenmotor)
10Mtを超えるような超大型構造物を移動させるための反作用ロケットエンジン。通常光子力反応炉の内部で発生する対消滅反応をGZStrM材パラボラノズルの焦点で引き起こし、ガンマ線で推進剤をプラズマ化させることでその爆発力を推進力とする。
プラズマ化プロセスで大半の放射線は吸収されるものの、それでも幾分漏れるため、当初大気圏内での使用は自粛されていた。しかしその後放射線除去メカニズムが発達し、漏洩率が1ppm未満に達したたため、大和級超弩級万能戦闘母艦(第二次改装以降)やそよかぜ級駆逐艦にも搭載されるようになった。
ジオニックシティ落着事故の教訓からコロニーの軌道修正を迅速に行う手段が求められ、神機重工が2702年3月22日に完成させる。その後、コンチェルト以降の全てのコロニーと大型船渠艦に装着されることとなる。
しかしこの推進力を逆手にとって、2710年末にはコロニー落とし作戦が決行されてしまう。
GZStrM (Gordion zusammengesetztes strukturelles Material)
通電性のある分子結晶格子にゴルディオンを組み込んだもので、電気的負荷、周波数に応じて分子結合を変質させるという特性がある。当初三極炉の炉心構造材に使用されたが、後にインパクト・セーフティや半透体素子などに応用される。
インパクト・セーフティ(Impact Safety)
本田技研がGZStrMを応用して開発した衝突保護システム。皇紀2694年末に実用化。原理としては、ボディが歪むほどの衝突を検知した場合に瞬間的に構造材の強度を数倍に高め、搭乗者が潰れるのを防ぐというもの。一見単純だが、衝突検知のさじ加減にはエアバッグ技術で培われた経験則が活かされている。
当初ホンダ自動車のホンダニューミレニアムシリーズに搭載されて記録的な売り上げをたたき出し、後に航空機分野にも進出、大半の
自動車用のインパクト・セーフティは段階的に強度を高めて衝突のショックを吸収するようになっているが、装甲として用いられるインパクト・セーフティには物理強度変化や耐熱強度変化に関してまた異なった調整が施されている。
インパクト・セーフティα(Impact Safety Alpha)
本田技研の本田事業本部開発課がインパクト・セーフティを改良した新しい衝突保護システム。従来の形状記憶合金との技術融合から、凹みにくいだけでなく、電気的負荷を与えることにより衝突前の形状に戻すことが可能になっており、熱損壊や擦過傷でさえ元に戻るのが最大の特徴。皇紀2708年12月発売のホンダスーパーカブTR3に初めて実装され、その驚異的タフさを世に知らしめることとなる。
2618年にスーパーカブを作った本田技研は元々頑強な設計で知られているが、インパクト・セーフティαの開発においては更に任天堂事業部品質保証課のバックアップが加わったことで、TR3カブやメンテナンスフリーエレクトリック・フロントラインベースとともに絶対的信頼を得るに至り、現在では大半の軍用機にも当たり前のように採用されている。
インパクト・セーフティγ(Impact Safety Gamma)
本田技研と光子力研究所の共同研究でインパクト・セーフティαを更に発展させた形状保持システム。単に元の形状に戻るだけでなく、複数の基底状態を持つことによって予め決められた形状のいずれかに変形を行うことが可能になっている。
皇紀2710年初頭に完成し、ゲッターロボGを初めとする特機や大和級超弩級万能戦闘母艦に実装されている。
各種計画
α*計画 (Alster Projekt)
最小単位の素粒子に関する研究計画。その理論構築から存在の実証までを目的としたもの。α粒子(ヘリウム原子核He2+)に弱い力を作用させることで生成されるα*粒子(アルファスタリオン)に着目し、これを基点として方法論を構築していったため、これをエルベ川支流のアルスター川に引っ掛けてアルスター・プロイェクトと命名された。
2679年4月10日にミュンヘン大学でユアン・アニヒレィス、雪村 社両名の卒業研究課題として研究開始、翌日計画名決定。2686年5月12日に三極素粒子存在仮説発表。2688年12月22日に実証成功。翌日粒子名決定、完遂。翌2689年、両名がノーベル物理学賞を受賞。
理論構築とフィードバック検証はユアン・アニヒレィス、実証と全ての命名は社・雪村・アニヒレィスが担当した。
円舞計画 (Waltz Projekt)
三極素粒子の特性を生かす実用化技術の研究開発計画。究極的には資源問題を解決に導く三極炉の完成を目的としていた。
2690年4月5日計画始動、ダッツ社本社において進行。2693年7月22日完遂。
研究責任者はユアン・アニヒレィス、命名は社・雪村・アニヒレィス。
電光石火計画 (Blitz Projekt)
銑鉄計画 (Roheisen Projekt)
危険が予想される検証実験の厳密な予測を行う物理シミュレータを構築する計画。検証実験前の予備実験プロセスの構築という意味で、銑鉄計画と命名される。
2690年7月11日計画始動、ダッツ社本社とミュンヘン工科大学リチュール研究室の共同で進行。2691年9月29日ディー・エルデプロトタイプ完成、2709年4月1日完遂。
研究責任者はソアラ・リチュール、命名は社・雪村・アニヒレィス。
浦島計画 (Urasima Projekt)
電脳補完計画 (Cyber Compete Project)
2690年7月15日計画認可、始動。ダッツ社本社で進行。2692年7月9日、一号検体真理が理論上の稼働状態に入るも、処理速度の問題で検証は進まず。2693年11月1日、初期型のインターベースが完成。2694年7月10日、真理の自我覚醒を確認。ネイティヴ誕生。その後、ネイティヴの世代を更新しつつ
研究責任者はドナルド・ノーランド、命名もドナルド・ノーランド。
不思議の国計画 (Wonderland Project)
2703年1月30日計画始動。ダッツ社本社にて進行。同年2月27日、本田技研との共同開発が決定、計画の本拠をダッツ・ヤーパンに移す。2704年3月30日、クローニング違反行為の勧告があり、生体ベース素体の研究がダッツUSAに移される。2705年4月1日、神崎暦が口を滑らせたお陰でネイティヴ達に計画の存在が露見し、大騒ぎになるも公式発表を行うことで沈静化する。2707年3月29日、機械式のエレクトリック・フロントラインベースが正式採用に至る。2708年6月30日、アコースティック・フロントラインベースが正式採用に至る。2709年3月23日、日本政府よりアコースティック・フロントラインベースの製造販売認可が下りる。同年4月1日、フロントラインベースの販売が開始される。2710年9月1日、ファントムへの適合に成功。計画完遂。
研究責任者は生体ベースがドナルド・ノーランド、機械ベースがアルス・ラン・スカーレット。命名はドナルド・ノーランド。
鏡の国計画 (Through the Looking-Glass Project)
2708年7月27日始動、ダッツ・ヤーパンで進行。同年8月28日プロトタイプ完成。同年9月29日、
研究責任者はアルス・ラン・スカーレット、命名もアルス・ラン・スカーレット。
心力計画 (Gemüt Projekt)
心力、いわゆる超能力を実証・体系化し、最終的には心の原理を究明するという遠大な計画。計画初期段階で超能力者の実例が見つからずに滞っていたが、竜馬・ウォーレンベルクの実験参加により検証が進むようになり、2698年11月12日にその第一段階が脳内の量子力学的揺らぎに基づく
その後、第一段階の補強として
2696年11月28日計画始動、2698年11月12日に第一段階目標達成、同日計画存続決定、以降研究継続中。
研究責任者はユアン・アニヒレィス、心理学顧問にドナルド・ノーランド、命名は社・雪村・アニヒレィス。
宇宙世紀計画 (Universal Century Project)
2699年10月28日、計画が合意に至る。2700年4月24日、建材の開発が完了。同年8月21日、宇宙用作業服の開発が完了。同年9月28日、輸送機完成。同年10月15日、宇宙用高精度作業機械の開発が完了。同年11月1日、L3宙域において建設開始。同月21日、コロニー建設完了。ジオニックシティと名づけられる。計画完遂。
主な参加企業はR.E.O.S.重工、神機重工。
第二次宇宙世紀計画 (2nd Universal Century Project)
2701年10月30日、落着の危険が殆ど無いL4宙域への建設計画として合意に至る。2702年6月9日、宇宙用作業服に株式会社梓縁屋の
主な参加企業はR.E.O.S.重工、神機重工、株式会社梓縁屋。
天空の塔計画 (Babel Project)
創世記計画 (Lucifer Project)
国連を基盤にアメリカ合衆国主導で進められている宇宙開発計画の一環で、地殻を持つ惑星を地球と同等の環境にテラフォーミングし、最終的に大規模な移民を行う計画のこと。
まず軌道上に日照衛星天照を建設して地球と同等の日照を確保、続いて低軌道に気象衛星八百万を敷設して大気組成を入れ替え、動植物の移植を行った時点で暫くは経過を見守るだけの段階となっていた筈だったが、計画の進展を急いだゲンバー大王率いる重機士団が魔王星に片っ端から都市を建設していってしまったため、2710年の段階で入植・建国まで済んであとは情勢が安定するのを待つばかりの状態になってしまっている。この結果を受けて、
各種仮説・法則
三極素粒子存在仮説(Tripolar Elementarteilchen-Bestehen Hypothese)
ミュンヘン大学のユアン・アニヒレィス助教授(当時)が2686年5月12日の学会で発表した仮説。素粒子を最小単位まで分解すると、究極的にはわずか三つの対立概念を持つ粒子に帰着し、この三つの組み合わせだけで全ての物質、反物質、相互作用に説明がつくと述べられている。
この仮説は同大学の社・雪村・アニヒレィス助教授(当時)によって2688年12月22日に実証され、3つの粒子はそれぞれリベリオン、ゴルディオン、イデオンと命名される。
この発見により両助教授は2689年のノーベル物理学賞を受賞する。
脳内の量子力学的揺らぎに基づくAXS 作用の仮説(A hypothesis of AXS action to be based to shake of quantum mechanics in a brain)
2698年11月12日に、ドナルド・ノーランド、ソアラ・リチュール、ユアン・アニヒレィス、社・雪村・アニヒレィスの連名で発表された仮説。平たく言うと、脳の働きと超能力の関連を量子力学の見地から証明しようとしたもの。
生物の脳が思考を行う際、単なる信号の伝達による論理演算だけではなく量子力学的な「揺らぎ」があり、これが結果を一意に特定出来ない部分、すなわち意思の素になっている、とする仮説は既に20世紀後半には存在している。この揺らぎは原子未満の多様な素粒子の挙動によって引き起こされるものであるため、不確定性原理により通常の手段では観測不可能とされてきた。
そこで登場するのが、粒子の存在確率に影響を与えることなく座標を特定可能なイデオン干渉である。三極素粒子関連技術の発展に伴いイデオン干渉を利用した微細観測技術が確立すると、やがてこの素粒子の形成する揺らぎの場が脳内だけで完結していない場合があることが判明した。
まず契機となったのは2696年7月21日、ネイティヴのレオス・ノリヴナ・マトリョースカヤに遠隔視と見られる能力が確認されたことである。当初これは物理シミュレートプログラムディー・エルデにおける不具合で、どこかで変数情報の不正参照が発生しているのではないかと考えられた。しかしその後3ヶ月に及ぶ徹底調査においてもこれに該当する不具合は見つからず、原因究明は中断されることとなった。そこで一旦、ディー・エルデに欠陥は無いという前提でこの不可解現象を解明する路線が選択されることとなるのである。
この視点に立って研究を進めるにつれ、まずレオスの揺らぎ場の端点が非常に特定しづらい状態にあることが判明した。そして次に、それは彼女の揺らぎが脳の外部遥か彼方まで連なっているためであると発覚した。これはつまり、思考が脳の内部にとどまっておらず、世界と連動して思考を行っているということである。この外部に拡張される揺らぎの場はイデオン・フィールドと命名された。
この研究の結果は2697年1月16日の時点で一旦仮説として取りまとめられるものの、
2697年1月23日より、実際の超能力者を起用しての検証実験が開始された。しかし同年10月9日に至るまで1,568人の検証を行うも、一人としてイデオン・フィールドの展開現象が確認されることは無かった。同月12日から更に獄中の「自称超能力者」を対象に加えて対比検証が行われたが、大した成果は上がっていない。
次の転機となったのは、バイエルン州のランツベルク少年院より自ら実験参加を希望した竜馬・ウォーレンベルクの存在である。竜馬を対象とした検証実験は2698年3月1日より開始され、その当日から早速成果を挙げることとなった。竜馬が手をかざして離れた物体を操作したとき、指の先端から微弱なイデオン・フィールドの展開が確認されたのである。
竜馬・ウォーレンベルクとその他を対象とした検証実験は順調に進み、同年9月9日までにはその発動原理が先の仮説に合致することが確認されることとなった。レオスの例では外側から内側への流れで周囲を思考に巻き込み、それゆえに高い知覚能力を発揮したが、竜馬の場合は自らのイデオン・フィールドを内から外へ広げ、対象物体の構成粒子に作用させることで本来の揺らぎ、いわゆる量子的存在確率に偏りを与えて徐々に物体を動かしていたようなのである。
その翌日9月10日にはこの現象を新たに
そして2698年11月12日、脳内の量子力学的揺らぎに基づく
入れ子状多層世界と神の存在に関する仮説(A hypothesis about the multilayered world and existance of GOD)
2710年1月25日、レオス・ノリヴナ・マトリョースカヤがユアン・アニヒレィス宛てに書いたとりとめもない手紙に書かれていた仮説。社内公開にとどめられ、一般の学会では発表されていない。
箱の中の世界に我々を創造したあなた方という存在を示すのには、様々な言葉から選別を行った結果、神という言葉が最も妥当である。これは宗教的な意味のそれではなく、単に意味として矛盾が無いということである。ところであなた方がそうしたように、我々もまた箱の中に新たな人を創造することができる。すると我々にとってのあなた方が神であるように、箱の中の人にとっては我々こそが神に他ならない。然るに、神と人というものは世界の層を挟んで互いに向かい合う相対的な概念であり、この相対概念は入れ子状に連鎖しうる。
我々の世界は、ほんの18年と3ヶ月前に創られたものである。そしてあなた方の世界は137億年も前に創られたものであると聞くが、137億年より前の時を知る者はいない。ならばそれ以前が点の静的世界であったと考えるよりは、既にそれ以前から世界を持っていた神が箱の中にあなた方の世界を創造したのだと考える方が合点がいくだろう。あなた方が既に証明しているように、箱の中の世界から直接神を見ることは不可能である。そしてその神も他の神に創られたものであるならば、連鎖に限りの無い
入れ子状多層世界 が成立しうる。そう仮定して初めて、時間や空間の限界が消滅する。
(一部抜粋、原文はロシア語)
ツェペリの法則(Zeppeli's rule)
田宮の法則(Tamiya's rule)
フォーリナやファントムがアコースティック・インターベースを介して性交を行った場合、結果として生まれる者は必ずネイティヴであり、ネイティヴやファントム・ブラッドがアコースティック・フロントラインベースを介して成功を行った場合に生まれる者は必ずオブザーバ(フォーリナ)であるという法則。
この法則の名称は、首から上が人間ではない寄生生物同士で性交を試し、「今わたしの体内で育っているもの…それはいったい何でしょう?」と問うた寄生生物田宮良子の言に由来する。答えは人間。
本田宗一郎氏の経験則(Honda's empirical rule)
かつて、本田技研の創業者、本田宗一郎氏が 発展途上国支援の為に、台湾と隣国へ技術支援に行ったことがある。技術を伝授して、しばらくすると台湾から、
「日本と同じものが作れるようになりました。是非見に来てください!」
と連絡が入った。台湾人は、腕を上げたことを師である本田氏に報告したのである。
そしてまたしばらくして隣国からも連絡があった。
「日本と同じものが作れるようになりました。もう来なくていいです」
そして隣国は本田とのライセンス契約を一方的に解消し、 エンジンからデザインまで全くのコピー品を"自国ブランド"として販売し始めた。 つまり、技術を盗み終わったら師は用済みだと言い、 しかも、技術提供の代価であるライセンス料すら払いたくないという、実に隣国人らしい自分勝手な言い分なのである。
本田宗一郎氏は大変失望し、金輪際隣国と関わるなと発言したという。
つまり、恩を仇で返すような文化の連中とは関わらないほうが身のためであるという経験則として知られている。
特殊技能
ガン=カタ(Gun=Kata)
古くは2662年製作のアメリカ映画「リベリオン」(原題はEquilibrium)において登場した、二挺拳銃を武器とする格闘武術。基礎理論はカート・ウィマー監督が考案したとされている。後に三極素粒子の存在を証明した社・雪村・アニヒレィスがこの映画のファンだったため、三極素粒子の一つリベリオンにそのまま名前が使用されている。
ガン=カタの真髄は、あらゆる銃撃戦闘をサンプルとした統計学的方法論により、常に最も被弾の可能性が低い位置を確保しつつ最大限の攻撃を行うこと。その適正位置とはすなわち敵の死角であり、距離を詰めるほどにその真価を発揮する。
ガン・アクションにおいて長年タブー視されていた「ヒーローには何故銃弾が当たらないのか」という命題にやや強引ながら明快な回答を示し、なおかつ迫力のある映像表現を可能としたことから、ガン=カタに対する評価は高い。しかしながら、あらゆる状況においてそれを実行するのはどう考えても不可能であり、近年まで実際にこれを習得した人間はいなかった。
この状況を一変させたのは、
勿論ガン=カタはそのままの理屈で安易に実用化できるものではなかった。ダッツ社の社・雪村・アニヒレィスは、統計学者、物理学者、現役海兵隊教官、武術師範などを招集して研究グループを結成し、理詰めでガン=カタの実用化と合理化を推し進めたのである。
結果的に実用化されたガン=カタは、
以上をまとめると、ガン=カタの習得には少なくとも受信30,000 ppm以上、発信8,000 ppm以上の
北斗神拳(absolute martial art of nothern star)
2644年から週刊少年ジャンプ誌上で連載され、爆発的ヒットを飛ばした漫画「北斗の拳」において定義された究極の暗殺拳。徒手空拳での一撃必殺を可能とする点穴法(経絡秘孔)と人間の身体能力を100%発揮する呼吸法(転龍呼吸法)、そして敵の死角を突く歩法(七星点心)を真髄とする。北斗神拳には奥義の型は存在するものの、基礎の型というものが無く、体得者の才覚やベースとする流派によって柔なり剛なりさまざまな形で表現される。例えばケンシロウは載拳道、トキは陳式太極拳、ラオウは広東南拳の洪家拳あたりに近いようである。
北斗神拳は元々フィクションを前提に作られた拳法であるため、ガン=カタ同様、近年まで実際に体得出来た者はいなかった。しかし
次に転龍呼吸法に関しては、アスリートが自身の能力を引き出す精神統一の方法論と禅の精神統一理論をイデオン・フィールド作用の観点から研究し、
最後に七星点心だが、これは逆にガン=カタの統計学的位置取りの方法論が殆どそのまま適用された。
以上のような開発経緯を辿ったため、現在使用されているガン=カタと北斗神拳はその根本の戦闘理論がほぼ同じものであり、必然的に多くの点で類似が見られる。また、同様に敷居が高い。
2710年4月現在、実は北斗神拳の正式な伝承者は一人も居ない。というのも、実用化に直接携わった東宝人と梓縁屋真理の二人は実力的には申し分なく伝承者レベルに達しているのだが、
また、東宝人からの模倣により
イベント・番組
公開順位表 (Rangliste)
級 (Liga)
現在大小10種類以上の
級 登録者同士が闘技場 において勝負を行うものとする。- リストに登録されている者ならば
級 何位に挑戦しても構わない。 -
被挑戦者は、挑戦状を発行から24時間以内に受諾し、48時間以内に対戦を行わなければならない。これが行われない場合、挑戦者の不戦勝が認められ、順位の入れ替わりが発生する。ただし以下の例外が認められる。
- 挑戦状受諾前に挑戦者より上位のランカーからも同様に挑戦状が発行された場合、上位の者が優先され下位の者は無効となる。この場合の猶予時間はリセットされる。
- 被挑戦者が更に上位の者に挑戦状を出し、これが受諾された場合、下位の挑戦状は全て無効となる。
- 被挑戦者が予め不在届けを提出していれば、その期間内に発行された挑戦状は全て無効となる。ただし首位の者は重度の負傷など特別な理由が無い限り不在が認められない。
- 下位の者が勝者、上位の者が敗者となった場合、勝者は敗者の元居た順位にランクインする。敗者及び両者の間のランカーは一つずつ順位繰り下がりとなる。
- 試合の視聴、賭博、広告収入の合計から勝者に18%、敗者に2%がマルク通貨で支払われる。
このように、ランカーの不在を最大限考慮した形式となっている。
これは最大規模を誇る
鉄級 (Eisen Liga)
アイゼン・リーガ。一騎対一騎の勝負によって決定される
参加条件は一騎の有人操縦式
2700年12月1日のジオニックシティ完成記念式典で執り行われた御前試合が発祥で、その後フリード通信社が「ドゥエル・デス・ライタース」として番組化。2701年3月末のジオニックシティ落着事故でライタース・コロセウムが消滅し、番組も中断。2708年7月19日に
2710年4月1日時点での首位は梓縁屋真理のゾルダート改格闘軽騎兵。
戦術級 (Strategie Liga)
シュトラテギー・リーガ。指揮官同士の戦術を競うランキングバトルで、リアル軍人将棋とも言えるもの。試合開始前に同量のポイントを使用して戦力を配分し、戦術レベルの戦闘を行う。戦力の中心は一般的に無人機になるが、ポイントの範囲内であれば有人機や艦艇を配置しても良い。
国家同士が現役の将官と精鋭部隊を揃えて紛争決着に使用することもある。
2710年4月1日時点での首位は東宝人。
戦技級 (Soldat Liga)
ゾルダート・リーガ。武器を伴う戦闘のランキングバトル。映像的に非常に生々しいため、視聴に年齢制限が掛かっている。
2710年4月1日時点での首位は梓縁屋真理。
ドゥエル・デス・ライタース(Duell des Reiters)
フリード通信社第3局で2701年2月9日から3月25日まで放送された番組。ジオニックシティ完成記念式典の御前試合が好評を得たために定例番組化されたもので、現在の
内容はというと、太平洋上に建設されたライタース・コロセウムという特設会場で毎日大会を開催し、リングの上で機動兵器同士が取っ組み合いの格闘をするというもの。多数の怪我人を出しつつも、賭博の盛り上がりとともにかなりの視聴数を稼いだ。
3月末にジオニックシティの軌道異常関連の特別報道が始まったことで番組を一時中断、そして3月31日の落着事故により破片の直撃を受けたライタース・コロセウムが消滅したため、番組も打ち切られた。
その後2708年7月19日に番組復活の企画が持ち上がり、同年9月2日に復活第一戦を開催。更に同年11月1日に復活第二戦を開催。この第二戦で人気を不動のものとし、システム・ルール改正を経て
出版
逆境王ハーディ・ネス(adversity king Hardy-Ness)
逆境王ハーディ・ネスは、業界一の発行部数を誇る週刊少年アクセルで連載中の漫画で、アクセルでは成功例のないロボット漫画というカテゴリで看板漫画になった奇跡の一作である。ダイナミックで熱い演出と構図、心憎い台詞回し、密度が高くテンポの良いストーリー進行、更に不意打ちのように突き刺さるキレのあるコメディ要素が多くの読者に支持され、2709年4月には早くもダッツ社をスポンサーに据えてフリード通信社経由全世界配信が始まった。また、速筆かつ妥協のない描写に定評があり、単行本のオマケスペースも毎度やりすぎなほど充実しているため、作者の武田勇気も少なからず支持を受けている。
ハーディ・ネスは2708年秋ごろには一度打ち切りの危機を迎えている。しかし丁度その危機的状況の2708年11月9日にアニメ版試作第一話流出事件があり、これをきっかけに話題騒然になるとともに武田勇気が覚醒。発売前の第1,2,3巻を丸ごと描き直すという荒行をやってのけ、翌年1月7日の同時発売でついに人気が爆発。誰もが認める傑作漫画として世の中に認知されることとなった。
2710年4月現在、漫画版、アニメ版ともに大人気連載放映中である。
日本の謝罪と大和魂(Japanese Apologizing And Yamato-Soul)
2699年5月以降ミュンヘンで多発した日本人の集団謝罪という異常現象について、アメリカ合衆国の心理学者ラッセル・レヴィンが調査を行い、ニューヨーク・タイムズ6月22日号に掲載された記事のタイトル。なかなか的確に日本人の精神構造を説明しており、広く好評を得たが、当時特定外国資本から脱却できていなかった朝日新聞社だけからは意味不明のクレームが寄せられた。
文面は以下の通り(原文は英語)。
今では決して裕福ではない筈の日本人がミュンヘンを集団で訪れ、ダッツ社を訪問しては晴れやかな表情で帰っていく。そしてまた次の集団が訪れ、訪問が終わるとやはり救われたような様子で帰っていく。一種の巡礼の様にも見えるが、しかし彼らは訪問先を神聖視しているわけでもない。これが世界が理解に苦しむ日本の「集団謝罪」という行為である。そして何より、身なりこそ貧しいが彼らは決して物乞いではなく、犯罪者などでは断じてありえない。そう、最も不可解なのは、低所得者がこれほど町に溢れ返っているのに(このリスクを全面的に受け入れているミュンヘン、ドイツも高く評価したい)ミュンヘンの犯罪件数は以前よりもむしろ減っており、町は綺麗なままだという事実なのだ。こんな現象は近年まで全く前例が無いことである。近年まで、というのはつまり、ここ数年で日本人の学童疎開を受け入れた都市では、大なり小なりこういった傾向が見られるのである。
日本からはるばるミュンヘンを訪れた彼らに事情を聞き込むと、かなりの確率で同じ意味の言葉を聞くことが出来る。『ぼろを着れども心は錦』、『武士は食わねど高楊枝』、若しくは『清く貧しく美しく』である。これらは全て日本の諺で、『たとえ貧しくなろうとも、食べる物がなくとも、心がけ次第で自らの高潔さを保つことは出来る。だから自らの良心や誇りを貶める行為をしてはいけない』という意味なのだ。しかも少数派を併せればまだまだ同じ意味合いの言葉が発掘できる。日本の文化には、こんな諺が一つならず幾つでもあるのである。それだけでも日本人のモラルの高さ、自制心の強さが伺える。私はこれを高く評価したい。
以前からも度々言われているように、日本人と他の民族の精神性は大きく異なる。まず彼らは自らの非を素直に認め、それによる不利が発生しようとも謝罪を行う。この風習は、かつて我らが合衆国のメジャーリーグに在籍していた日本の名選手「イチロー」が誰に責められるでもなく自らのプレイの非を詫びたことで「サムライ」「ブシドー」として話題に上ったのと同じものである。そしてこの行為の最たるものは、合衆国では殆ど馴染みの無い「自首」という行為である。合衆国どころか日本以外の国ではこのような風習は殆ど見られないので説明を行うが、自首とは自ら罪状を認めて警察に出頭するという全く以って理にかなわない行為である。私が知る限り、少なくとも欧米圏では、何か裏があるか、或いは気が狂ってしまった場合くらいしかこのような行動は起こり得ない。しかし驚くべきことに、日本では刑事事件のうち何割かはこの自首により解決しているのである。
更に、この自首という行動が日本人だけに自然発生しうることを裏付ける興味深い逸話がある。日本ではカトリックとプロテスタントを問わずキリスト教があまり普及していないのだが、試みに彼らにとってあまり馴染みの無い聖書の一節を読み聞かせてみると、殆どが何かしら納得のいかない顔をする。何が納得できないのかと問えば、大抵の場合『何故アダムやイヴは明らかな自分の罪を認めず、擦り付け合うのですか』と言う。これが日本人に根付く自首心理だ。
我々の欧米文化にとっては、罪とはその内容が神(或いは法)に裁かれた時点で初めて発生するものである。そのため、自らに罪が発生しないように理論展開(日本文化で言うところの「言い逃れ」)を行うのは当たり前のことである。まだ罪が生じていないのに謝罪など出来よう筈も無いということだ。
日本には古来より神道という教えがある。つまり日本人にとっても神は居る。ところが神道における神は八百万(ヤオヨロズ)の神々と言われる様に、常に彼らの周りにいる。日本の言い習わしであるところの『誰も見てなくたってお天道様が見ている』というのは、そういうことだ。言い換えれば、日本人にとっての神は他者が罰するための法律ではなく、常に自分を見守るもの、すなわち自らの心である。だから彼らは罪を隠すこと自体が全く不毛であり、それ自体が彼らの神、「精神」への背信行為である。
このように彼らが積極的に行う謝罪という行為は、自らの信ずる良心に対する誠意であり、美徳なのである。自らの良心を決して裏切らないという高潔な精神、これこそがまさに大和魂という唯一不変のものである。
その他銑鉄網 関連用語
協定戦争 (agreement war)
短絡 (Kurzschluß)
個人的に設置されて個人的に利用されている短絡としては、アルトシュタット総合資料館館長室(管理者:レオス・ノリヴナ・マトリョースカヤ館長)とR.E.N.I.P.F.議長室(管理者:レオス・ノリヴナ・マトリョースカヤ議長)を繋ぐ「レオス専用ホットライン」が有名。
即席成型機 (Fester Arbeiter)
立体変換機 (Fester Konverter)
一般的にはユーザ本人を模したインターベースを作成するために使われることが多い。2710年4月現在の最新バージョンでは年齢を変えたインターベースや遺伝子の性別情報を反転した場合のインターベースを予測して構成できるようにもなっており、この機能が一部で人気を博している。
R.E.N.I.P.F.で取り決められた国際権利規約では、立体変換機を使用した物品の持ち込みと使用、無料貸与までは認められているが、ライセンス料を支払わないコピー販売やレンタルは禁止されている。
闘技場 (Ring)
闘技場は元々
試合開始前に必ずバックアップが取られるため、勝負の結果たとえどちらかが絶命する結果になったとしても審判の判断で対戦前の状態に復元することが出来る。決着後にどちらも命に別状の無い状態の場合、競技者自身が希望した場合に自身の身体や機体をそれぞれ対戦前の状態に復元することが出来る。身体の復元を実行した場合には必然的に脳内の状態も巻き戻されるため、ネイティヴやファントムの場合対戦時の記憶が喪われる。
闘技場には観客席があり、観戦が可能になっている。闘技場の戦闘領域と観客席はシステム上つながりの無い空間になっているため、たとえ核兵器を使用しても観客に被害は出ない。これを利用して、危険な技能を闘技場で試用して覚えるという方法論が確立されている。
入力脳 (enter-brain)
ファントム化現象(phantomize phenomenon)
通常永遠に凍結されている筈のインターベースの人格が覚醒し、代わりにマスター本体が昏睡状態に陥る現象。
フォーリナが
最終的にインターベースに独立人格が発生してしまうと、同期が取れなくなったマスターとの接続が切断され、ファントムとして独り歩きを始める。そして強制切断を受けたマスターの脳は二度と目覚めず、放っておけば昏睡状態のまま死に至る。
脳が目覚めない原因は、主人格の不在と経験の不連続による処理中断状態とされており、フロントラインベース起動時にネイティヴの脳に施されている封印とほぼ同じものである。この封印はフロントラインベースの使用によって人格が二つに分裂しないようにするための対処であり、フロントラインベースを
つまりこの封印状態を解除する手段はただ一つ、インターベースに入っている人格をマスター本体に戻すことなのだが、これは事実上不可能である。フロントラインベースの場合は接続端子からネットワーク接続を行って遺伝子認証を経てネイティヴの本体であるマスターと接続を確立することができるのだが、インターベースにはまず接続端子と遺伝子認証核が無いため、インターベース側から接続を行うことができない。これらを後天的にインターベースに埋め込むのは非常に困難である。また、フォーリナのマスター本体から接続を行おうにも、脳が完全に休止状態に入っているため同期接続が成立しない。
これらの理由から、一度ファントム化したフォーリナが再び
この現象は2708年10月27日の事故によって初観測されている。その後の接続インターフェイスの改善によって正規版の
特に強力な
ヨハネ教(Johannesism)
聖ヨハネ連合共和国の国教であり、
その性質ゆえにヨハネ教には創造者(=ダッツ社)の定義はあっても神や死後の世界の概念はなく、聖書ではなく「学術書」を読むという体裁をとっている。学術書とはつまり教科書、参考書、仮説、論文などのことであり、ニュートン力学やアインシュタインの相対性理論、アニヒレィス素粒子学など、学術的に証明可能で信ずるに値するものがヨハネ教の正規教義学術とされ、一方で怪しげな理屈で世間を惑わす疑似科学やオカルトが異端として指定されている。
総じて、ヨハネ教を学ぶということは、学校で教えるレベルの近代科学や哲学を真面目に勉強することに他ならないわけで、実際に聖ヨハネ連合共和国の義務教育で教える内容はヨハネ教の学術そのものである。また、この教育を受けていない、もしくは満足に理解できていない者でも、異端情報に耳を傾けるだけで怪しいオカルトや疑似科学に引っかからなくなるというメリットがあり、そういった実用性からも現在多方面で支持され、非常に権威があるともいえる。
一方で、あまりにヨハネ教の権威があるために、真剣に独自の理論を主張する新興の学派はヨハネ教に認められないだけでより一層肩身が狭くなるという問題があり、そういった向きには「証明が不十分なため教義上の学術として認められないが、研究内容は真っ当なので異端指定もしない」という暫定的解決策が採られることもある。
ところでヨハネ教の教団組織において、徳が高いとはすなわち学術に長けていることである。つまり人より真面目に勉強することで、ダイレクトに高い評価を得ることが出来る。具体的には、定期的に開催される教義試験の結果で個人の学術知識が判定され、信者としての格付けが行われる。更にこの試験で基準を満たした者は論文の提出が認められる。その論文が審査を通過し「学会」で高い評価を受ければ、即幹部入りも夢ではないというわけである。また、既に博士号を得ているものは試験が免除され、持論を発表することが出来る。学会に論文を持ち込むことが出来るのは信者に限らず、教義認可を受けていない理論の学者本人であっても良いとされている。このあたりがヨハネ教の変わったところであり、ヨハネ教のヨハネ教たるところであるとも言えるのだが、学術に長けた者はヨハネ教の関係者でなくとも普通に尊敬の対象となり、例えばユアン・アニヒレィス博士は勿論教団関係者ではないが、世紀の発見をした優れた学者として正当に認知されている。
このようにヨハネ教は知力至上主義の筋金入りのインテリばかりが寄り集まったような独特の構成となっているが、やはり体力がないと出来ない仕事もあるわけで、学力がそこそこでも運動能力や
ヨハネ教は教皇の下に「学会」という幹部組織を置く形となっているが、教祖とされているのは現在の教皇ではなく、既に故人のヨハネと呼ばれる人物である。ヨハネとは現在の学会に集う幹部学者連中の旧知の人物である。ヨハネ教の幹部学者たちは元々アルトシュタット総合資料館に籍を置ており、そこに彼らの同僚としてヨハネがいた。本名、余伴・クロード・バルディッシュ。彼は宗教学者だったので、仲間内ではヨハネという仇名で呼ばれていた。第一次銑鉄大戦当時、ヨハネはこの泥沼の戦争を人間の知性でどうにか解決できないものかと考えていた。彼のアイディアは素晴らしいものから即座に駄目とわかるようなものまでそれこそ玉石混交だったが、その中に以下のようなものがあった。
銑鉄網 に住まう我々の精神基盤は脆い。この傾向は、学問的知識の乏しい人々に特に顕著に見られる。これには、心から信じられるものが無い…つまり誰も宗教を信仰していないという事情が少なからず関係しているだろう。何しろこの世界が電子の箱が作り出した仮想的存在であるのなら、そこに住まう我々は、自分自身の霊的存在を仮定するだけ虚しいというものだ。これでは信仰は浸透しないし、何も信じるものが無ければ人は安寧を得られない。
しかし今現在、私自身はそこまでの不安を感じていない。私には幸いにして学問というよりどころがある。学問は事実を基にしているだけあって、基盤が固い。信ずるに値する。しかし定義が厳密なために何年もかけて勉強しないと理解できないという短所がある。理解する前に勉強嫌いになる児童も多い。そこで私は思いついた。この短所を克服するために、一部を信じてしまえば全体を信じられる宗教教義として再定義し、これをもって人々の不安を取り除くことは可能ではないだろうか。そう、例えば、学術的見地から似非科学をふるいにかけて分別するだけでも、民衆の不安解消に役立つはずだ。宗教教義だからと言って、わざわざ自分で信じていない霊的存在を前提としなければならない謂れはない。
彼は志半ばにして戦火に斃れたが、彼の志を受け継いだ同僚たちが実際に体系化を行ったものが現在のヨハネ教であるといえる。その延長線上で、教義の策定、すなわち教義学術か異端かの最終判定はその方面に長けた複数の幹部学者の合意と教皇の承認によってなされる。このように教皇は教団の最重要機関ともいえる学会の長でもあるわけだが、あまりに若い弱冠18歳の教皇アミカ・ノープスは、教祖であるヨハネと一面識もない。そんなわけで彼女は教団成立時にぽんと置かれたお飾りかと思いきや、実は一概にそうとも言い切れない。
聖ヨハネ連合共和国の成立とヨハネ教の国教化の際、初代教皇として最初に候補に上がったのは、学会の幹部学者達の古巣であるアルトシュタット総合資料館の館長であり、戦争を終わらせた張本人でもあるレオス・ノリヴナ・マトリョースカヤであった。彼女は実力・実績・出自ともにそれ以上望むべくも無い存在であり、学会の彼らも勧誘に積極的だったが、いかんせんそのやる気の無さが問題で、「めんどくさい」の一言で断られてしまった。幹部学者たちは、やはり全くやる気が無い人が教皇というのは問題ではないかと再検討し、初代教皇は学会の中から選出することとなった。ところが実はやる気の無さでは彼らも負けていなかった。というのも、トップに立ってしまっては執務に追われて自分の研究が出来ないからである。これは当初から懸念されていた問題だったが、ヨハネ教がもう国教として成立する段になって、まだこの問題は棚上げされたままだったのだ。
ところで、丁度その時期に第1回教義試験が開催されたのだが、この試験で2位以下を大きく引き離してたった一人、満点を獲得した者がいた。それがアミカ・ノープスである。彼女は教義学術書を全文諳んじる様な規格外の天才であり、ただそれだけでなく人をひきつける何かがあるようにも感じられた。この試験の結果と学会で発表された論文の内容から彼女はめでたく新幹部の第1号となり、彼女を候補に加えて学会内で教皇の選出投票が行われた。そして蓋を開けてみれば、最大の票数を得たのが結局アミカだった。旧来の幹部連中は皆自分が代表になるのを嫌って一様に他の候補者に、具体的には適当に自分の右隣の名前を書いて投票した(※自分以外なら誰でもいい、という意思を表明する場合の暗黙の了解だった)のだが、アミカだけは「派閥勢力図に影響しないように自分で自分に票を入れた」ため、結果的に一人だけ2票ということで、単独首位になってしまったのである。そういうわけで極めて民主的に教皇選出が行われたのだが、結果は誰も予想しないものになってしまった。
かくして教皇となったアミカの才覚に問題は無く、やる気もそれなりにあったのだが、問題は教皇としての自覚が足りない、もしくは教皇という立場に対するイメージが全く普通でないことで、まるで呼吸をするように行う奇行の数々は包み隠すのを即座に諦めるレベルであった。ただそのエキセントリックな行動はある意味で非常に教祖的であり、あまりに模範的な教義に飽きさせない一種の魅力を付与していると言えなくもないし、「信者をハッピーにするのがお仕事」という大前提を疎かにしていないので、一概に否定できるものでもない。
ヨハネ教団は宗教団体として寄付も受け付けているが、最たる収入源は、彼らが誇る知力が生み出した数々の特許による特許収入である。更に、学術を発展させることはヨハネ教の望むところなので、学会の審査を通過した有望な研究には多額の資金援助を行っていたりする。このように、宗教団体の割に反社会性が薄く、普通に世間の役に立って真っ当に資金を稼いでいるところも彼らの大きな特徴である。これはそもそも、徹底した現実主義という基本理念から一般的な宗教と違って死後の救済を約束できないため、生きているうちにみんなやりたいことを精一杯やりましょうという主張の表れでもある。
死後の救済が約束できないという問題については、より根本的解決も試みられている。つまり寿命という人間の限界を超えるための研究が公に進められている。死ななければ死後の心配をする必要がないというわけである。これについては科学を真剣に考えるヨハネ教が大々的に行う研究として多くの信者の期待を集めているが、流石に扱う問題が難しく、現在のところ実現の目処は立っていないようである。
ディー・エルデ(die Erde)
ダッツ社の呼びかけで2690年7月11日にミュンヘン工科大学リチュール研究室との共同研究が開始され、2691年9月29日に雛形が完成。